私は胸が大きい方ではなく、それを気にしたことはほとんどありませんでした。
親族から笑われたこともありましたが、多分、性的な目で人から見られることを好まない方なので、胸が小さいことはむしろいいことだと考えていたと思います。
そんな私でしたが、やはり身体の一部分が欠損すること、女性性の象徴ともいえる乳房を失うことには少なからずショックを受けました。そんな自分が意外でもありました。
もう両胸が揃った状態で誰かと接することはないのかーと、今までの自分の在り方を思い返して後悔することもありました。
でも、やっぱり元々の自分の考え方もあって、そんなに長く衝撃の期間は続かず、どちらかというと、万が一リンパ節郭清になった場合、可動域の制限など出てくるのか、術後はどの程度疼痛が続いて刺激を避けないといけないのか、とか、そちらの心配が大きかったです。
手術前に友人と旅行の計画があったので、そこではフィールドアスレチックに行って、思う存分腕を振り回して負荷をかけて遊びました!
フェスにも行って、人混みの中で他人の身体がぶつかるのも気にせず楽しみました!
結果として10年経った今、幸いセンチネルリンパ節生検までだったこともあり、ほぼ術前と変わらない生活を送れているのですが、術前に自分のやりたいことをしっかりやって望むことができたのはとても良かったと思います。
多分翌年のフェスには人混みは避けてですが参加出来ていたような気がします。
右腕を上げた時の引きつる感じと感覚異常は10年経っても残っていますが、大きな支障なく日常生活は送れています。
手術自体は2時間程度の短時間の手術で、集中治療室などに入ることもなく、病室へ戻りました。手術室からの帰りのエレベーターでうっすら覚醒している中「リンパ節郭清はしましたか?」と聞いたのですが、先生からは返事がなかったので、ちゃんと話せてなかったのかもしれません😂
病室へ戻ったら徐々に吐き気と創部の疼痛が出てきました。
看護師さんに伝えたら、すぐに吐き気止めと痛み止めを使ってもらえてすごく楽になりました。症状が強くなる前に、早めに薬を使用することの大切さを実感しました。
少し強めの痛み止めを使ってもらったので、その副作用でしばらくウトウトしていたのですが、頭は結構覚醒していて、周囲の会話とかは聞こえてました。
詳細なことはほとんど覚えていませんが、眠っている私のおでこを父親が撫でてくれたことだけは鮮明に覚えています。
当時26歳のいい大人でしたが、父親にとってはまだ子どもで、どんな気持ちで、術後の娘のおでこを撫でたんだろうと考えるといまだに涙が出そうになります。
その後、夕飯の時間はまだ禁食だったので食事は摂れず、多分消灯後くらいに食事可能となったのですが、とにかく空腹が辛かったです!
お腹が空いて眠れず、念のため買っておいたゼリー飲料を飲みながらなんとか朝まで凌ぎました💦痛みや尿道留置カテーテルの違和感など、色々な症状が辛いというお話を聞きますが、私は空腹が辛かったです😂
翌朝には朝食もしっかり食べて、膀胱留置カテーテルも抜いて、スタスタ歩けてたと思います。その日のうちに退院でした。
ちなみに、医療従事者の方にお伝えしたいのは、尿カテ抜くとき、痛いです。私自身「少し違和感がありますよー」と声をかけて抜去の処置を行っていましたが、擦れるような痛みがありました。時間は数秒ですが。挿入長さの短い女性であの痛みなら、男性はもっと辛いと思います…😥
それ以来、尿カテを抜去する時は、痛いことを念頭にご説明するようになりました。
創部も手術翌日に目視と鏡で確認しましたが、感想としては「思ったより綺麗!」でした。
手術翌日は浮腫や腫れもあって、切除した欠損があまり気にならなかったのもあるかもしれません。創自体も綺麗な傷で、手術創自体の衝撃はほぼありませんでした。元々医療従事者で傷自体を見ることに慣れているというのはあるかもしれませんが…。
術後1週間くらい経って、腫れ感が落ち着いてきてからの方が形の変化は気になったような気がします。
今は、洋服の上からはまったく左右差気になりませんが、気持ち的に、手術側の胸だけ取り外しできるパッドを入れたり入れなかったりしながら過ごしています😊
術後1週間くらいお休みをいただいて、しばらくは体位変換などの力を入れる仕事は変わっていただいたり、かなり配慮していただき、本当にありがたかったです。
私の場合は部分切除だったので手術自体は大きなものではありませんでしたが、自分自身にとっても、医療に携わる者としても、貴重な経験だったと思います。
実家から離れた病院で手術だったので、少し遠方でしたが、手術当日には家族や親族が付き添いに来てくれて、ありがたかったです。
普段からそう思っていないといけないと思うのですが…
改めて自分は1人で生きている訳ではないんだということや、家族や仕事仲間など、周りにいてくれる人の大切さを感じた出来事でした。
まとまりのない内容になってしまいましたが、文章で改めて表現してみると、時間の経過とともに薄れてしまっていた記憶や感情を思い出すことが出来ました。